廃屋

店にいる時間の方が長くなり、どうしても家のことは後回しになります。

今日は定休日、でもやっぱり、店のことで一日過ぎていきました。

辛うじて午前中、家の用事をしたのですが…。

あれあれ、拭けば取れていたはずの汚れがこびりついて取れないは、強いはずのサボテンがぐじゅぐじゅになっているは、家中がなんだか不機嫌です。

愛人宅に入り浸って、久々に本宅に帰ると、家族がみんなそっぽを向いている。

「どちらも愛しているんだよ」と言い訳にならない本音を漏らす男性の気持ちがわかるような…。

そんななか、ほったらかしにしていた鉢植えからこんな見事な花が。

少し救われました。

 

家事労働は世の中に全く認知されていませんが、まさに真剣勝負、隙を見せたらたちまち、やられます。

前回に続き、私の好きな茨木のり子の詩を一つ。タイトルは「廃屋」です。

 

   人が

   棲まなくなると

   家は

   たちまちに蚕食される

   何者の手によって

   待ってました! とばかりに

 

   つるばらは伸び放題

   樹々はふてくされて いやらしく繁茂

   ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ

   頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ

   あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ

   魑魅魍魎をひきつれて

   何者かの手荒く占拠する気配

 

   戸さえなく

   吹きさらしの

   囲炉裏の在りかのみ それと知られる

   山中の廃居

   ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ

   波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように

 

   人が

   家に棲む

   それは絶えず何者かと

   果敢に闘っていることかもしれぬ

 

 

家事労働を侮るなかれ